ポンコツと半異形

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 アンドロイドったって、人間と殆ど見た目変わんねぇし……。 「お前、それ一張羅かよ! 他に予備とかねえの?!」 「何着かございましたが、全て返り血でダメにしてしまいました」  返り血って……一体何してんだよ、この執事。 「ああ……じゃあ、いいや。何だかんだ乾いてきたし」  溜息を吐きながら、あたしは右手首を振った。こいつと話してると何か疲れるな。  とりあえず、物騒な単語は聞かなかったことにしておこう。 「お役に立てず、申し訳ございません」 「別にいいよ」  と、この話題はそこで終わったわけだが、執事がいつまでも不思議そうにあたしの方をじっと見ている。……何だ?  視線の先を辿って、あたしは合点が行った。  執事はどうやら、あたしの背中を見ていたようだ。キャミソールのばっくり開いたバック。そこには、蝙蝠のような一対の、小さな黒皮の翼が生えている。  ……今更、気付いたのかよ。 「安心しろ。もう二年はこのまんまだから、すぐに異形(フリークス)になることはねーよ」
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