prologue

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 一階の奥。ここが坊ちゃまのお部屋です。早速、ノックをして失礼致します。  あっと、どうやら強く叩き過ぎてしまったようです。拳が扉を貫通してしまいました。いけませんね。後で直しておきましょう。  どうも先程からお見苦しい所ばかりをお見せしてしまって、申し訳ありません。終は失敗作の不良品ですので、アンドロイドの割に何も出来ないのでございます。  とにかく、坊ちゃまのお食事が現在の最優先事項です。 「坊ちゃま。昼食のお時間でございます」  声をお掛けして、テーブルの上にトレイを置きます。……おや、朝食が全く減っていらっしゃらない。やはりお加減が良ろしくないようです。心配です。 「本日は、白米と鯖の味噌漬けの缶詰でございます」  私は料理が出来ません。食材ももう底を突いてしまいましたので、缶詰しかありません。  それが不満なのでしょうか。坊ちゃまはこちらを見向きもなさいません。それとも、具合が良ろしくない所為でしょうか。  新鮮な空気を入れ替えた方が良いでしょうか。閉ざされたままの窓を開けてみることにします。
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