ポンコツと半異形

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ポンコツと半異形

「未亜様、こちらにいらっしゃったのですね」  室内にあたしの姿を視認すると、扉から顔を出したアンドロイドが声を掛けてきた。  あの後、あたしは結局着替えの為に適当な部屋にお邪魔させてもらったわけだが……。 「おや? お着替えはなさらなかったのですか?」  元のままの服装のあたしを見て、執事が首を捻る。あたしは例の着替え用の衣装を持ち上げながら、答えた。 「お前、これ“坊ちゃま”のだろ。あたしにはサイズが小さすぎて入んなかったぞ」 「そうでしたか。申し訳ございません」  とりあえず、タオルで体を拭きはしたが、いざ着ようとしたら……まあ、そういうことだ。 「私のサイズでしたら、入るでしょうか?」 「そうだな。……Yシャツだけ貸して貰おうか」  執事(バトラー)アンドロイドの服っつったら、燕尾服だろう。ズボンは長そうだし上着は暑そうだしな。  あたしの注文に執事が「畏まりました」と応じる。続いて、蝶ネクタイを外しに掛かり……。 「ちょっと待て! お前、この場で脱ぐつもりか?!」 「はい」  はい、じゃねえだろが、焦ったわ!
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