脱獄恋愛

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カチリ……頭の中で確かに音がした。全てが蘇る。本来の自分の姿が。 あァ、コイツは確かにメルマじゃねェ……。メルマの魂と比較もできないくらいに薄汚れている。 カ「クク……ッ悲しいもんだなァ」 メ?「…………」 シ「カルマ……?」 カ「本当の牢獄はこの世界自体じゃねェか。テメェ全部試しやがったな?俺を守護神にでもさせる気だったかァ?」 メ?「そうすれば嫌でもメルマ様には逆らえない」 ロ「何の……話だ?」 ノ「え、あの、弱点は……」 ル「混乱しすぎです」 ノ「う……っ」 いきなり話が始まりゃァ混乱するか。 カ「簡単だァ、俺が影の者だって話だ」 ロ「! そ、そんなはずはないっ!なら、ケニオは……!」 メ?「私の忘れられた器です。私は存在していてしていない。だから1人とは限らないのです。複数の意識を共有できる。ですが、それでは演技にて嘘がバレる能力もあります。なので、ケニオの意識だけ切って別の記憶を神に埋め込んでいただいたのです。死んでからは回収しましたが。少年院に関しては私自身がしました。万が一故郷に早く辿り着かれても困りますからね」 ロ「ケニオで見張りにつけるということは、影の者が最初からわかっていたのか?」 メ?「メルマ様が特別ならば、影も当然特別になりうる。今回ばかりは見つけるのは簡単でした。力の欠片の大きさによって影としての記憶はさっきまでなかったようですが。騎士として見定めたのも記憶を探るためです。思い出す傾向にあるかどうかをね。」 ロ「記憶がないにしても、影は光を嫌う傾向にあるんじゃないのか」 メ?「いいえ、寧ろ好んでいるからこそ、先に時間を儲けて世界の崩壊を企むのでしょうね」 ノ「それは影の者が世界樹に近づけないからで……」 メ?「それは影の者が無意識に光の者を進んで傷つけることに抵抗があるからです。仕方の無い場面まで来ないと、影の者は光の者を傷つけることができない。何故かわかりますか?」 カ「光の者を愛してるからか……。」 シ「カルマ……」 ル「光を愛すると言うなら何故影は光の邪魔をする?」 カ「世界よりも光が大事だからだろォ?世界樹と光の者は一心同体。だからこそ安定した心を持っていきゃァ世界崩壊は免れる。だがな、それは1回じゃ終わらねェ。人が憎しみ、悲しみ、怒りを漂わせる限りなァ。それを何度光は背負えばいい?」
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