脱獄恋愛

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-by.カルマ- メ「は……ぁ……っ」 だめじゃねェか………やり始めてそんなにバテてんじゃ……。 神の心を読み始めた時からやめろと心の中で言ったが、メルマが神に集中し始めたせいか、全く伝わらねェ。だが、声を出す元気すらない俺にメルマにしてやれることがない。 俺はメルマの影だってェのに、全く守れてねェ……。初めての死の恐怖よりも、メルマを守れねェ悔しさの方が上だ。 考えても考えても無駄な考えばかり浮かんで目の前がだんだん霞んでいく。まだ死ねないってのに、いくら考えを巡らせようと力の抜けきった身体は動かせねェし、声も出ねェ。意識も遠退いてはなんとか考えることをやめず、遠退くそれを振り払うばかり。 「あれではメルマ様が死んでしまいます。神が口に出して言うくらいですから、嘘じゃないですよ?あのまま死んでしまうんですかね」 邪魔をした奴がそう呟く。メルマが……死ぬか。メルマの死は世界の死。それはどうでもいいが、自滅なんてものはしてほしくねェ。 ああ、だが、いっそのことお互い死んだ方が楽なのか? 「死ねば、神の力を神の本当の子として継いだあなたたちなら、身体から魂が離れ私みたいに存在のないものとして適当にその魂の入る器を形づくった後、死神になるでしょうね」 死神……?そんなものが存在するのか。……結局メルマは死んでも自由はねェのか。 「……死神は神を殺す目的を担っています。神殺しは禁じられているために、神に対等で闘う力を持つものは存在しませんが、死神は神と同等の力を持ちます。神を殺すために。ですが、死神は今のところ存在しません。」 何故だ? 「神と同等の力に耐えきれず消滅するからです。とは言っても神は自ら死を望むか、死神に殺されるかでしか死は存在しないので死神になって消滅した人数はそこまで多くはありません。」 テメェは何で俺にそれを教える? 「私はもう死にたいからです。神の遣いである私は神の言葉なしには死ねない。メルマ様が神に継いでも、今の神が存在する限り、私はただ苦しむものを見るばかりです。何より私自身悪役をすることに疲れきっているんです」 神は神の遣いに見限られるほどに最低最悪な奴ってことか。
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