脱獄恋愛

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だが、それなら何故神を殺すのを邪魔しやがった。 「神はただ殺すだけでは死なないからです。死神は神殺しだけでなく、神に関わるものたちの魂を切ることができますからね。それで私を殺していただきたい。」 魂を切るのと殺すのとはどう違う。 「………何故死神しか神が殺せないのかと言えば死神は魂を切れるからです。神と同等の力だけでなく、魂を切れるからこそ、神殺しによって裁かれない。神殺しが罪とされるのは表の事情で、裏では神を倒したところで神の魂が残る限り、神に死にません。なので神自身が恨みはらしに罰を下す……それが真実です。」 対等の力を持つ奴が存在しねェならそんなこと起きるはずがねェ。 「対等と言えど、いくつかの作られた神が力を合わせれば一時的に同等以上の力になりうるんですよ。だから神がまた復活することで罰を与えられるんです。その時には同等以上の力が分散してますから、対等ではいられなくなる。」 神にならねェ方法はないのか。 「死神になろうとは思わないんですか?」 神を殺したいわけじゃねェ。俺はメルマを自由にしてやりてェだけだ。この世界という牢獄からなァ。 なのに……もう意識が持ちそうにねェ……。結局死神にしかなる以外ねェのかよ……。 「メルマ様が死ぬ前に貴方が死神になれば、メルマ様を守れます!死神は死んでなるものなので神以外の者には見えませんが、メルマ様は神ではなくとも神の子供として力があります。ですから、貴方が見えないはずはない。死神として貴方がメルマ様の傍にいればメルマ様は神に翻弄されることなく自由に生きれます。それに死神には神と同じ力がある。世界を作ることも可能なのではないでしょうか」 あァ、それなら死神も悪くねェな……。時間はかかりそうだが、死神になってやる。必死になってくれた代わりに殺してやるよ。メルマが死んでなかったら……なァ? 「貴方が死神になるまでの間メルマ様は必ず守ります。神に殺されようが、死ぬことが私の目的ですから。命に変えても守りましょう」 コイツは神には殺されねェ。神はコイツがいつ裏切ってもおかしくねェとわかっていて傍に置いてる。ここまで言い切るくらいだァ。神が気づかないはずがない。それは神がコイツに依存しているからと理由づけてもおかしくねェ。 言い切るのが嘘だとしても他にメルマのための方法がねェからな。とりあえず……死ぬか。
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