1500人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
-by.メルマ-
“どんな世界がほしい?”
そう聞かれたぼくの答えは、永遠にカルマと一緒にいられる世界。
その答えにカルマがくれた世界は時間経過のない世界。ぼくはずっと年をとらない。
カルマはたまにどこかへ行くけれど、絶対に世界からは出ないように言われている。
ここは時間の進みがない。だからぼくは本来ならもう死んでいるくらいの年になるほどに、外では時間が経っているんだと、カルマから聞いた。
この世界だから生きているのだと。
全ての世界の牢獄から脱獄して行き着いた望みの叶う世界。カルマは死神の仕事でたまにいなくなるけど、必ず帰ってくる。
ここはカルマといれて、欲しいものは願えば手に入る夢の世界。始めは楽しくて、嬉しくて仕方なかったけど、今はどうだろう?
ぼくは何のために生きてるのかわからなくなる。
カルマはぼくの傍にいるだけで、人だった時のカルマとは違うのも思い知らされてきた。
牢獄から脱獄しても愛のない世界はぼくにとっての牢獄じゃないのかな……?
メ「世界の外は死の世界……」
愛されないなら、存在理由もわからないなら、ぼくは死んで中途半端なここから脱獄したい。
カ「何をしてやがる。死ぬ気か」
メ「カルマ……」
カ「何が望みだァ……何が足りない。何がほしい……!」
メ「カルマがほしいよ………でもカルマじゃないっ!カルマがいないんじゃ牢獄よりもぼくは辛い……。ぼくはもう生きたくない」
カ「どこがカルマじゃねェ……?テメェが望むなら、俺はカルマになる。だから、離れるンじゃねェ……っ」
死神になってから初めて見るカルマ。必死にぼくが死のうとするのを止めている。ああ、もしかしたらぼくは気づかなかっただけなのかもしれない。
メ「カルマ、好き……大好き……」
カ「なんだ……それは……」
メ「大事な人に言う言葉。大事にすることは愛なんだよ。ぼくね、カルマに愛されてないんじゃないかって不安になってた。でも違うんだね。カルマはカルマが死ぬ前のぼくに似てる。だからカルマはきっとぼくを愛してくれてる。ぼくが気づかなかっただけだよね」
最初のコメントを投稿しよう!