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『化け物!』
そう言われたのはいつだったかァ……ただ能力を持つだけでその言葉。
怪我がすぐ治ってしまうのも、痛みをとってしまうのも、痛みを移してしまうのも、全てが怖がられた。親さえ恐怖の表情を浮かべた時は泣くよりも笑えた。
ああ、俺は誰から見ても“化け物”なのかと。
周りが俺を“化け物”というなら、俺は“化け物”であるしかない。人を傷つけようが、気まぐれに助けようが、“化け物”から“人間”になることは決してない。
それが辛くて、悔しくて、でも泣けなくて、弱音も吐けず、人を傷つけてばかりいれば、いつの間にか“殺人者”となり、殺人が当たり前となっていた。
誰もが恐れる“殺人者”に………。
その時にはもう俺は何も感じてなんかいなかった。
ただ人を殺すのが生活の1つのように殺していた。だが、漸く捕まった時、やっと死ねると希望をもった。
結局自分の中で人を殺したくない思いがあったのだと知らされた瞬間だ。
けれど、また今、人を殺してもいいなんて思っている。大切なものを守るためになァ。
こればかりは悪い気分じゃねェ。俺はずっとメルマを求めていたのかもしれない。
メルマ“みたい”な存在ではなくメルマ“自身”の存在を。
さっきの話の途中に俺はメルマみたいな存在と出会っていたこともある。いや、メルマには全く似てねェが、俺に近寄ってきた奴がいた。だけど、最後には裏切られて終わりだァ。
それを幾度と繰り返しその度に人を殺した。
それで学んだのは信じれば信じるほどに辛くなるということだァ。それが何より怖い。
でも、もし、メルマと会うのが必然だったというなら俺は…………。
カ「信じてェなァ」
メ「カルマ……泣いてるの?」
こんなにも俺は人に対して臆病だ。人を信用できなくなったのも、心の底から泣くことも笑うこともできなくなったのは人のせい。
けど、それをひっくり返そうとするのもまたメルマという“人”だァ。
メルマを見ていると最後に1度だけ信じたいと思える。いや、信じてェ。
自分の気持ちもメルマの気持ちも信じて受け止めたい。
カ「メルマ……愛してンだ……」
メ「カルマ……ぼくもあいしてるよ。愛をぼくは知らなかったけどきっとカルマを想う気持ちは愛だとぼくは思いたい」
カ「俺もだ」
俺はこれからずっとお前だけを愛そう。メルマの素直な気持ちを次は簡単に受け止めることができた。
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