刻一刻

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考えれば考えるほどイライラしてきて、考えるのをやめる。 メ「カルマ……カルマ……っ」 思考を停止すれば、俺の名を確かめるように何度も呼ぶメルマに気づく。今までの無表情が嘘のように流れて止まない涙。 今まで見てきた中で最も綺麗で美しく思えるのはそれだけメルマを気に入っているんだろうなと自覚した。 自覚したからこそ無理な話だ。このガキを殺すなんてこと。殺人なんて罪を背負うのはお互い様。だが、その数は計り知れねェ。 そんな俺が殺せない、殺したくない奴ができるとは考えもしなかった。 カ「………」 メ「くるしい、の?だいじょ、ぶ?」 カ「苦しいのはテメェだろうが……泣き方がなってねェ……我慢するような泣き方してんじゃねェよ」 メ「う……ふ……っわああああんっ」 感情を読み取れるってのも辛いもんなんだろうなァ。相手も苦しんでるのに自分だけが泣けないなんてガキの思うことじゃねェってのに。 俺の苦しさなんて気にしなくていいってのに。だって今更だろ?人を殺しまくって死刑になるのが怖いだなんて。 俺は色んな人から大切なもん奪ってきたんだって今更苦しむなんて資格ねェのによ。 もっと早くこいつと会えてたら俺は………。 カ「なんてそれこそ今更か……」 メ「グズ……ッカル、マ?」 カ「あー、泣き止んだか?」 メ「ん、スッキリした」 あーあ、いつもと同じ無表情に逆戻りか。だが、泣かれるよりはいい。 俺はメルマを見て思う。他にとって大切なもんを奪ってきた俺が生きるのは間違ってンだってなァ。 だから処刑日の死刑には抵抗せず死ぬつもりだ。痛みを身体の中に取り込む能力にも限界はあるはずだからな。俺は罪を償うべきだ。 だが……… メ「カルマ、不安……?」 そうだ、不安だ。メルマを1人にさせるのが。それが死刑よりも辛い。いや、死刑になることでメルマを1人にするのが俺は何よりも不安だ。 初めてだ。守りたいと思うなんてよ。俺に殺された奴を思う奴らもそう言う気持ちで……守りたかったのにと思う気持ちで俺にあの目を向けてきたのだろうか。 憎しみ、恨み、怒り………そして悲しみ。今の俺にならわかる。なにせ、メルマが殺される想像をしただけで架空の人物を憎みそうになる、恨みそうになる、怒りまかせに殺してやりたくなる、そして何より辛くて苦しくて悲しくなる。
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