第1章

6/9
前へ
/44ページ
次へ
前田千代の死因は頸動脈からの出血によるものだと、警察関係者から職員に伝達された。緊急の職員会議には校長は勿論、警備員も一緒に聞き入っている。 クラスメイトの子供達にはまだ真実を伝えていない。残酷すぎるのが一番の理由だ。 緊急の職員会議の為、1~2時間目は自習にしてあるが、好奇心旺盛な年頃に真相を聞きたいのが大半だろう。こっそり聞き耳をしている子供の頭がチラチラ目に入る。 学級委員長に押し付けたのが悪かったようだ。そうでなくても、あの子は性格に難がある。クラスを一縄で纏めるのはまだ早い。賢い子ではあるんだがな…学級委員長である邑允暁嗣を思いやった。 職員会議があるからと先生の言い付け通り自習に取り掛かるものの、ショックが抜け切らない影響でか、千代っちの残像が頭から離れられない。佑くんと一緒で幼稚園からの幼馴染が亡くなったのだ。どう処理していいのかまるで分らない。 「墓丘、前田の事考えているだろ」 1つ前の席に座っている邑允暁嗣があたしに声をかける。椅子を半分傾けて後ろを振り返っている。そのまま転んでしまえ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加