最弱、死ぬ。

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・・・・覚えているのは、「栃木県 323‐548」とかいう文字だった。 そんな顔するなよ。ホントの事だ。 オレはあの日歩いてお気に入りのライトノベルを買いに本屋まで歩いて行った。んで、何の問題もなくソイツを買った。お気に入りのシリーズの第4巻で、異世界に転生した主人公がチート能力を駆使して暴れ回ると言うお約束とも言える小説だ。 ありきたりな内容だとしても、面白ければファンは付く。かくいうオレもその一人だから、三巻の最後で主人公が妹キャラのヒロインにアツアツのチゲ鍋を鼻に突っ込まれ、そのまま死んでしまうと言う展開を読み終えてから、第四巻の発売を心待ちにしていたのだが。 そんなこんなでオレはトムヤンクンを片手に持つ新ヒロインが表紙の新刊を愛でながら、ゆったりと帰路についていた。 まさに幸福の絶頂。天国がどこにあるかと聞かれれば、オレはこの本の中と答える。二秒で。 そんな考えをめぐらせながら、本を片手に歩いていた。 おれはアスファルトの溝に引っ掛かり、ド派手にこけた。
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