ゆき

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児童養護施設 ぼくはそこにいました 隣の家は おじいさんと痴呆持ちのおばあさん そのすぐ隣は 木こりのお兄さんがいました 施設に入りたてのぼくはみんなに馴染めず なぜか、保母さんもぼくに対しての態度がキツかった ぼくが外で一人で遊んでいると 「風邪ひくから早く中へ入りなさい」 と言うのだが 施設に戻ると 「なんで外に出たの!みすぼらしいったらありゃしない!」 こんな具合だ 罰として靴を取り上げられてしまった 外には雪がつもってて もうすぐクリスマスだった 施設の中にいても 年上のお兄さんに いじめられてしまうので やっぱりぼくは 裸足で外に出た 乾燥室と学習室の間にある 建物と建物の間に 体育座りでうずくまっていた 足の感覚がなくなり アカギレをしだして そろそろ中へ戻ろうかと思って顔を上げると トナカイがこちらをみていた いや、トナカイではなく 顔だけトナカイの被り物をした人が 立ったままじーっと、こちらをみていた ぼくはびっくりして 腰を抜かしてしまった でも、怖くはなかった 不気味さと不思議さが入り交じったような もののけ姫の鹿みたいな格好をした シシガミサマの用な不気味さだ よく見ると体が透けている 全身真っ黒でそれは まるで影みたいだ ぼくと目が合うと 彼はゆっくりと歩き出した なぜだか「彼」だとわかったのだ ぼくは追いかけ 転びながらも 彼を追った
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