30人が本棚に入れています
本棚に追加
髪を解かし終えたテマリが、コーヒーを煎れ始めた。濃い薫りが部屋にただよう。
― …コーヒーより紅茶の方が合うんじゃねぇか?
なんとなく、言ってみた。
― 何にだ?
― このごてごて。
― ロココ調と言う。
知るか。
声には出さず呟くと、テマリが手を止め、
― 紅茶の方が良かったか?
と聞いてきた。
― 別に。何だっていい
― それとも、昆布茶の方が良かったか?
からかい口調で言うテマリに、おちょくってんのかと反抗しようとしたが、なるほど確かに昆布茶の方がいいかもしれない。なんて考えていると、テマリに笑われた。
最初のコメントを投稿しよう!