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「綾瀬ちゃんは大丈夫?」
「何がですか?」
「事務所の子、みんな海斗のことで追い回されてるみたいなんだけど。」
報道2日後、大翔が心配して声を掛けてきた。
「…大翔さんと同じ部類ですから。」
「なるほど。上手く避けきれてるんだ。」
「はい。」
安心したかのような表情を見せた大翔。
「大翔さんはご存知でしたか?」
「何を?」
「彼女の本性を。」
「知ってたよ。…でも、あいつにとって彼女は特別だったから。あいつも知ってたけど、信じたいって気持ちが大きすぎて、周りが見えなかったんだよ。」
……やっぱり。それが現実だったんだ。
「海斗の様子知ってる?」
「分かるわけないですよ。」
「隣人なのに。可哀想、海斗。」
数日は自宅謹慎だと大翔が教えてくれた。
それが解禁になるのが明後日で、レッスンに来ると言う。
でも、私は今でも"話し掛けるな"と言った言葉を徹底していて。
「分かったら直ぐに連絡しますよ。」
「うん。そうしてくれると助かる。あいつ、電話に出ないんだよね。
俺の電話にも出ないなんて初めてだから、気になるんだけど。
なかなか仕事で行けなくて。
よし!レッスン始めるぞ!みんな集まれ!」
(…今日…行ってみるか…?)
そんな感情にさせるくらい、大翔の心配が伝わってきた。
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