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「海斗さん。鍵はどこですか?」
「ポケット探りますよ?」
意識は多少あるものの、話し掛けても答えようとしない。
…答える気力まで無いんだ。
海斗の部屋を勝手に開け、玄関に入れた後、自分の部屋に戻って大量のタオルを持って再度海斗の部屋へ。
大まかに拭いた後、靴を脱がせてリビングまで辿り着く。
部屋干しされていたTシャツとスウェットを取り、上着だけは取り替えた。
「海斗さん、ズボンは自分で出来ますか?」
そう言うと、海斗はゆっくり頷く。
確認した後、もう一度自分の部屋に戻って、全部で4袋に氷を詰めて、フェイスタオルで巻く。
アイスノンと体温計とその袋を抱えて、海斗の許へ走る。
戻ると、着替えられてはいるものの、リビングの中央で倒れていた。
「海斗さん!」
「……あ?」
返答があったことに安堵する。
「ベッドに行きますよ。もう少し頑張って下さい。あと10歩だけ頑張って。」
腕を肩に回して、ゆっくり歩数を刻んで、ベッドに寝かせられた。
脇に体温計を挟んで、電子音と共に確認する。
「38.7℃…やっぱり高いな…」
足の付け根と脇の下に氷を挟み、頭の下にアイスノンを差し込む。
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