6687人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
コンビニに走ってポカリの2Lと氷を買って、薬局行って錠剤とドリンクの2種類の風邪薬を買う。
その帰り道、着信音に気付き、ディスプレイを確認すると、大翔だった。
「もしもし!大翔さん?」
『おう。何度か着信あったけど、どうかした?』
「指示が欲しかったんです。
帰り道に海斗さん見付けて、凄い高熱なんです。
救急車呼ぼうと思ったんですけど、謹慎中だし立場上悪い気がして家に連れて帰りました。」
『…いい判断したな。それでいいよ。で、海斗の様子は?』
「ちょっと苦しそうです。長時間雨に打たれていたみたいで、身体が冷えきってましたが、布団の中に入ったので今は大丈夫と思います。」
『そうか、良かった。…そっちに行きたいんだけど、まだドラマの撮影が終わらなくて無理そうなんだ。悪いけど、海斗を頼めるか?』
「分かりました。」
『時間が空いたらこまめに連絡するから。綾瀬ちゃんも移らないようにマスクするんだぞ?』
「はい。ありがとうございます。」
電話を切ると、丁度マンションの前で、急いで海斗の様子を見に行く。
(…まだ高いな…薬飲ませないと…)
何度も行き来する自分と海斗の部屋。
野菜と卵と鶏肉の入ったお粥をつくって、鍋ごと海斗の部屋に持っていく。
「海斗さん。」
「……ん?」
「少しだけ、お粥を食べられますか?」
「…理……奈?」
「……………」
ちょっと意識が混濁している様子。
でも、そっちの方がいいだろう。
話し掛けるなと言われたし、彼女がこの人にとって特別な存在ならば、彼女が看病してくれたことは、感情面で大きな支えとなり、身体面の回復も早いだろう。
「看病に来たよ。お粥作ったから、ちょっとだけでも食べて、薬飲もうね?」
「……ん……」
私越しに大倉理奈へ向けられた笑顔は、とても優しいものだった。
最初のコメントを投稿しよう!