鼓動

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コンビニに走ってポカリの2Lと氷を買って、薬局行って錠剤とドリンクの2種類の風邪薬を買う。 その帰り道、着信音に気付き、ディスプレイを確認すると、大翔だった。 「もしもし!大翔さん?」 『おう。何度か着信あったけど、どうかした?』 「指示が欲しかったんです。 帰り道に海斗さん見付けて、凄い高熱なんです。 救急車呼ぼうと思ったんですけど、謹慎中だし立場上悪い気がして家に連れて帰りました。」 『…いい判断したな。それでいいよ。で、海斗の様子は?』 「ちょっと苦しそうです。長時間雨に打たれていたみたいで、身体が冷えきってましたが、布団の中に入ったので今は大丈夫と思います。」 『そうか、良かった。…そっちに行きたいんだけど、まだドラマの撮影が終わらなくて無理そうなんだ。悪いけど、海斗を頼めるか?』 「分かりました。」 『時間が空いたらこまめに連絡するから。綾瀬ちゃんも移らないようにマスクするんだぞ?』 「はい。ありがとうございます。」 電話を切ると、丁度マンションの前で、急いで海斗の様子を見に行く。 (…まだ高いな…薬飲ませないと…) 何度も行き来する自分と海斗の部屋。 野菜と卵と鶏肉の入ったお粥をつくって、鍋ごと海斗の部屋に持っていく。 「海斗さん。」 「……ん?」 「少しだけ、お粥を食べられますか?」 「…理……奈?」 「……………」 ちょっと意識が混濁している様子。 でも、そっちの方がいいだろう。 話し掛けるなと言われたし、彼女がこの人にとって特別な存在ならば、彼女が看病してくれたことは、感情面で大きな支えとなり、身体面の回復も早いだろう。 「看病に来たよ。お粥作ったから、ちょっとだけでも食べて、薬飲もうね?」 「……ん……」 私越しに大倉理奈へ向けられた笑顔は、とても優しいものだった。
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