鼓動

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「…何?今の。」 リビングに戻ると、大翔が声を掛けて来た。 「…私を大倉さんと勘違いされてるようなので。この熱がもし、精神的なものだとしたら、"特別な人"の看病ほどいい薬はないと思いまして。 ですから、大翔さんも、私だったとはバラさないで下さいね? 海斗さんにとって、一番嫌な相手が看病してくれたとなれば、ショックでまた寝込みますよ?」 少し考えた末、大翔は笑いながらこう言った。 「本当に頭のいい子だ。」 「…嫌味ですか?」 「誉めてんの。」 「じゃ。有り難く受け取っておきます。」 「ハハッ!綾瀬ちゃんらしいや。俺は何か出来ることある?」 「海斗さんの着替えを。」 「了解。任せて。」 にっこり笑った大翔は、ベッドルームに行き、海斗の着替えをしてくれた。 ここは任せて、私は自分の部屋に戻り、昨日食べ損ねたご飯を作るためにキッチンに入る。 夕食 兼 朝食。 時計を見ると、6時前。 あと3時間後には、スタジオ入りしなければいけない。 (仮眠取ったら爆睡しそうだ…) 今日は迫り来る眠気との闘いだ。 そう思ってるとインターホンが鳴り、「お邪魔しまーす」とズカズカ入ってきた大翔。 「どこ行ったかと思った。終わったよ。他は?」 「ありません。そのまま休ませるのが一番です。」 「なんだ。全部やってくれたんだ…って。美味そう…」 「ご飯まだですか?良かったら食べます?」 「マジで?ラッキー!」 変な構図だけど。大翔と一緒にご飯を食べることになった。
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