鼓動

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「綾瀬ちゃん、さっき分かちゃった。」 「何がですか?」 「海斗と不仲の原因。」 食事を済ませてコーヒーを飲みながら、壁にある写真やカメラの本などを見ながら大翔がそう言ってきた。 「そうですか。」 「あれ。驚かないの?」 「カメラマンの観察力や洞察力は、誰より持っていないといいものが撮れませんから。」 「ハハッ!長野さんだな?」 「そうです。だから、大翔さんに悟られて当たり前です。」 大翔や海斗のカメラの腕は、私自身が知ってるし認めてもいる。 長野さんと一緒に行動していたのなら、気付かれるのは当たり前だろう。 「海斗は不器用だから。俺に免じて許してやってくれる?」 「許すもなにも、怒ってないですよ。半分は呆れてましたけど。怒ってる相手を看病するほど、人間出来ていませんし。」 「そっか。ならいいんだ…あれ?」 「どうしました?」 「……この写真……」 大翔が手にした一枚の写真。 あのとき、あの公園で撮ったもの。 「……どう言うこと?」 大翔は、トーンを押さえた声で聞いてきた。 少し怒ってるのを抑えてるような感じで。
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