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大翔を撮り終わって、チェックに入ると、納得できる数枚の写真を見る。
この中から選ばれることになるな。
いい写真に仕上げられた喜びも束の間で、海斗の写真をどうするか、彼に目を移しながら考える。
「君。綾瀬さん。」
「………何でしょう?」
「俺、察し通り、レンズ入ってるよ。」
そう言うと、海斗はコンタクトを外して私に見せた。
「これがバレたのは初めてだ。よくわかったな。」
微笑みながら私に見せた裸眼の海斗は、片方の目がマリンブルーの色をしていた。
「これがレンズを入れていた理由」
「………キレー……」
思わず、口に出して言ってしまった。
固まった3人を見て、我に帰る。
「スミマセン。隠してたんですね。分かりました。レンズを入れてください。」
オッドアイってやつ。
左片方だけ色が違う。
肌の色も、結構白いから、ロシア系が混じってるかもしれない。
長野さんがそれを隠そうとしたってことは、トップシークレットなんだろう。
勉強不足だった。
相手を勉強しても、出てこない事実かもしれないけど。
もしかしたら、嫌なことだったのかもしれない。
気持ちを切り替えて、再度海斗に向き直り、髪型を少しだけ変えて、左側の前髪を下ろす。
おでこがでない分、魅力は下がるが、反射光による違和感はなくなるはずだ。
定位置に戻り、ファインダーを覗いてターゲットを確認。
……うん。大丈夫だ。
それから数枚の写真を撮って確認する。
……いい写真だ。
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