鼓動

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「大翔。ちょっと話があるんだけど。」 「来たよ!綾瀬ちゃん、助けて。」 「行ってらっしゃい。」 「お前ら、いつの間にこんなに仲良くなってんだ?」 「「元々」です」 大翔と話し中に海斗が会話に入ってきた。 ジーッと顔色を観察。…うん。大丈夫みたいだ。 「…………何だよ?」 「…………別に。」 確認して安堵したのと同時に、声をかけられた。フイと視線を落とす。 それも、私たちにとっては慣れたもんで。 海斗ももう何も言ってこなくなった。 「俺、今から会見なんだけど。どう話せばいいか迷ってんだよ。」 「社長に聞けよ!そんなこと!」 「社長、適当にあしらっておけって。」 「…ぐ…社長らしい…」 「お前、見たんだろ?あれ誰だよ。」 「理奈だったんだろ?」 「残されてた手紙。あんなことはしないし。」 ……しまった。墓穴掘ったんだ。 手紙には"大倉理奈"ってちゃんと書いたんだけど… 「俺に残す手紙に、わざわざ名字まで書く奴は誰だよ。理奈になりすませて。 俺らは別れたんだからあり得ねぇ。」 …そう考えればそうだ! チラリと大翔を向くと、すごい形相で睨んでいた。 (お前か。めんどくさいことになってる原因は!) 口パクで怒鳴られて。 (…すみません!) と返す。それから (後はヨロシクです) と言って、さらに形相が変わった大翔を残してその場を去った。
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