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でも、意外と私だとバレたのは早かった。
会見も済んで、報道陣も事務所から少しずつ引き始め、バックダンサーは通常のスタイルに戻りつつある頃だった。
「綾瀬。」
「はい。」
話し掛けるなとは言っても、こうして先輩である海斗は、私にも話し掛けてダンスの指導とかをしてくれていた。
公私混同しないプロ意識が伺える。
「ちょっと俺の楽屋に来い。」
「……はい。」
「大翔、お前も。」
大翔と二人、顔を見合わせて首を傾げる。
海斗の楽屋へ行くと、海斗は奥の壁に背中をあずけて腕組みしながら私たちが入る姿を眺めていた。
「そこに座って。」
「……………」
「なんだよ。急に。」
「これについて、お前らに話がある。」
そう言って長机の上に置かれた一枚の写真。
「!!!」
「あ。」
あの日、私が撮った写真だった。
自分の中で一番いい写真だと言ったら、大翔は、『指導の参考にするから俺にも1枚焼いて。』と言い、現像した。
「これ、お前の鞄から出てきた。」
「……………」
「どう言うことか、説明しろ。いつの写真か、知ってんだろ?」
なるべく穏やかに、それでも、怒り狂ってるのが犇々と伝わる声色。
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