鼓動

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「さっきの大翔の話、半分本当の事なら、お前が撮ったスクープを大翔に横取りされたことになる。」 「そうですね。」 ……なんか、海斗の言いたいことが分かってしまった。 その2日後、大倉理奈が破局報道をしたのは、私のせいだと言いたいんだ。 ……そこまで愛してるんだ。 そして、今も彼女を忘れてない。 「これが雑誌に載ることはなかった。…お前、いくらで売ったんだ?」 雑誌に写真を載せることは、そこの社員じゃない限り高額取引ができる。 そうでなくても、ネタ持ち込みだけで、証拠写真を見せるという手も使える。 この写真は、それができるくらいの写真だった。 「海斗。違うんだよ。それは」 「お前は黙ってろ。俺はこいつに話してんだよ。」 「海斗!」 「大翔さん。いいですよ。」 「綾瀬ちゃん!」 「そうです。おっしゃる通り、それは私が撮りました。」 シーンと静まり返った海斗の楽屋。 近付いてきた海斗が私の前で立ち止まる。 ゴクリと唾を飲んだ海斗。 「以前、海斗さんが"スクープ撮ってみろ"って仰ったので、偶然見掛けたお二人が別れ話をされ」 パシィィーーン!!! 乾いた音が鳴り響いた。 「海斗!…綾瀬ちゃん大丈夫か?」 「……大丈夫です。」 「大翔!お前、こんな奴の味方するのか!」 「ちゃんと最後まで聞いてやれ!!」 「大翔さん!海斗さん!喧嘩しないでください!」 「お前のせいだろ。」 「海斗!やめろって!」 私の襟元を掴んで持ち上げた海斗。 怒りが頂点に立っている。
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