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「海斗さんはそのままで居てくださって構いません。…今度のオフ日でも引っ越しますから、ご安心を。
それまでは、鉢合わせないように、時間をしっかり確認して出入りしますから。」
「…綾瀬……?」
「売り言葉に買い言葉だったんです。好奇心で撮ってしまいました。本当に申し訳ありませんでした。
……データは直ぐに削除します。」
深く深く頭を下げて謝る。
「私を殴って、少しは楽になれたのならいいですけど。……では、皆さんのところへ戻ります。失礼しました。」
「綾瀬ちゃん!」
そう叫ぶ大翔を他所に、海斗の楽屋を出た瞬間。
「バカ野郎!綾瀬はお前を必死に庇ってたんだぞ!なんてことしてくれたんだよ!」
「……え……」
海斗の楽屋から聞こえてきた大翔の怒鳴り声。
(…あーあ。言っちゃった…)
溜め息を吐いて、大翔の行動への怒りを抑える。
殴られてまで我慢して、海斗の気持ちを汲んであげたのに。
何もかもが水の泡じゃん。
…でも、私はこれから忙しくなるぞ…
後2ヵ月で、大翔のあのスパルタ指導でカメラを覚えなきゃいけない。
今までは、忙しい大翔に遠慮して、そして、自分のダンスの責任を果たすために大翔にせがむことはしなかった。
これからは、そうはいかない。
レッスンの合間でも、大翔に時間があれば教えを請わなければ間に合わないかもしれない。
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