鼓動

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レッスンが終わり、先輩方のお世話をして、掃除をして、やっと終わった一日。 帰りついて一言。 「んー。大翔さんの言うことも一理あるんだよなぁ…」 マンションのオーナーは、二分される。 1つは、管理を全て任せて、自分は外にいる方法。 これは、結構費用がかかるやり方。 もう1つは、オーナー本人が、そのマンションに住んで、管理会社と共同で見るやり方。 この場合、管理会社は、礼金と諸費以外は受け取らない。 今の私のやり方だ。 まぁ、私がここに住み始めたのが、"家が欲しい"と言ったからで。父は、その家と、これから先の案定収入を提供したに過ぎない。 だから、別にここにずっと住むことはないんだけど、このマンションは住みやすい。 駅も近いし、24時間のスーパーもコンビニも近い。 生活雑貨や、服、鞄、様々な店が徒歩圏内にあり、生活するのに、ここまで便利なマンションはない。 だから、引っ越したくないってのが本音。 「……あ。そうだ!」 ハッと思い出して、ベッドルームの金庫を開ける。 マンションの権利書、土地権利書等、大切なものが保管されている金庫の引き出しの中、カードキーを取り出して、久し振りに上の階へ上がる。 そう。 考えたのは、オーナールーム。 いくらなんでも、一人で住むには大きすぎるため、今までここに住まなかった。 「やっぱり大きすぎる……」 今の私の部屋は、全部合わせれば60㎡ほどの広さになる。 下の階は、私と海斗の2部屋のみ。 つまり、このオーナールームの広さは、120㎡ほどになる。 「…しょうがないか…」 ここには専用エレベーターがあったり、セキュリティーも万全。 外へ行きたいときは、専用エレベーターで降りたら、海斗に会うことはまずないだろう。 元々、隣に住んでいても、顔を会わせることは少なかったし。 「ここにするか。」 オーナールームへの引っ越しを決めた。
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