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「今日は85点ってとこか?」
「……や……」
「どうして?」
「……ぅんん……!!」
「…認めれば?」
「…嫌……嫌…!!」
「嫌がってない。」
頻繁に地方ライブに出るようになって、テレビにも慣れてきた。
あれ以来、海斗を避けるように行動して1週間後、海斗はひたすらしつこいと言うほど私を追い回した。
まるで、鬱憤を晴らしているかのように
何か言いたげな顔をしては私の唇に触れる。
それが拒否出来なくて、嬉しいとも思うし、でも、海斗の本性がなかなか見えずに悩んでいた。
「…っ……ハァ…ハァ…」
「綾瀬、まだ意地張るのか?ん?」
「…海斗ーー。どこだーー?」
「……チッ。邪魔が入ったな。続きはまたな?」
軽くキスすると、舞台の袖から出ていった。
その場に佇んで、ドキドキする胸の上に握り締めた両手を乗せる。
彼は、私をどう思ってるんだろう?
ただの遊び相手?
女に触れたいから触れるだけの対象?
はっきりしない海斗の態度は、私に不安と恐怖と絶望の淵に立たせる。
海斗のキスは、ただ唇を重ねるだけ。
深くなるわけでもなければ、私に身体を求めたりもしない。
息も出来ないほど
長く
唇を重ねるだけ。
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