鼓動

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「綾瀬ー。」 「あ。服部。久し振り。」 「今日飲みに行かねぇ?」 「突然だね。コラムやったあとになるから、19時くらいになるよ?」 「いいよいいよ。待っとく。」 政治部の服部。私と同期入社。 久し振り…そうかもしれない。なんせ半年くらい会ってなかった。 服部のいる政治部は、毎日のようにいろんなことが起きるため、そして、最近政治に興味を持ち始める若者が増えたせいか、雑誌の売り上げが良くなってきている部署だ。 日替わりで24時間待機で、常に最新のネタを仕入れるために奔走している。 服部も、例外ではなく、休み返上で毎日のように出勤していると風の噂で聞いていた。 「「お疲れーー。」」 カチン!とグラスを合わせて、1日の疲れをビールで癒していく。 「なんかヤツレたね?」 「本当、政治部に配属決まって、一気に体重激減。ヤバいぜ?あそこ。」 「裏とか知ってるんだ?」 「もう血みどろヘドロ。知れば知るほど知らない方がよかったなんて思う自分に乾杯。」 「苦労してんだ。」 「そう。だから、気分転換に誘ったわけ。」 「加納は?」 「一番に誘ったけど、今日は無理ってさ。あいつも忙しいヤツだな。」 「暇なのは私だけかもね?」 「カメラマンは、それなりに危険だからなぁ。暇くらいあってもいいんじゃねぇの?」 そう。カメラマンは危険。 これはカメラマンの常識だ。
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