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スクープを撮ってやる!と誓っても、本人は現れず、月日だけが過ぎていった。
聞けば、全国ツアーの真っ最中とかで、地方巡演だと思われる。
ここ2,3日、ギターの音が聞こえてきたのを知れば、ツアーの予定日を見、関東周辺での公演だと分かった。
どうやら、ライブが終わって家に帰ってきてるらしい。
「ツアー行ったの?」
「何で私が行かなきゃならないの。」
「お隣さんの応援に決まってるだろ。」
「やだよ。うるさそう。」
「それがライブって意外と燃えるんだって!」
「アイドル興味ないし。」
「出たよ。アイドル嫌い。」
何でも話せる服部は、意外と音楽大好きで、いろんなジャンルのものを聞いてはライブに足を運ぶ。
仕事のせいで行けなくなったのがストレスになってるとかで。
「そうそう、高山海斗と東大翔。この二人の数年前の写真探したぜ。」
「どこにあったの?」
「管理部。調べものついでに探してみたら見つけたんだよ。写真展の作品と、あとは…コレコレ。」
そう言って取り出した二人の写真。
今より細くて、幼い顔をした二人だった。
「…これ、何だろう。三面鏡見てる気分。」
「ユーモアたっぷりだよな。」
ファッションモデルを真剣に撮っている大翔。
その隣で大翔の真剣な表情を撮っている海斗。
その全体を纏めあげて撮っている写真。
その目は、二人ともカメラマンの目。
すべてを透視できるかのように、純粋に被写体と向き合っている二人の姿だった。
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