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すると大翔は、面白いオモチャを見付けた子供のような目と、若干薄笑いを浮かべた顔で私を見た。
「綾瀬ちゃん。」
「はい。」
「俺の弟子になりたいって本気?」
「本気です!」
「なんで海斗じゃなかったの?」
もれなく付いてくる彼女が基本的に嫌いなタイプだったので。
「海斗は綾瀬ちゃんの隣人だろ?海斗の方が頼みやすかったんじゃない?」
「頼んでみようと思いました。けど。諸事情でやめました。」
「諸事情?」
いくらなんでも、相棒の悪口は言えませんよ。それくらいの人文は持ち合わせています。
正確には、相棒とその彼女の悪口ですけどね。
「まぁいいや。」
適当に流した大翔は、そこからジャンプして女子トイレ側に降りた。
……人がいなくて良かった。ただの変態アイドルになりかねないからな…
「綾瀬ちゃんって、結構足早いよね。何かスポーツやってたの?」
今の話となんの関係があるんだよ。
「いや、関係ある話だから真面目にね。」
…考えはお見通しってか?
「…ありますよ。」
「どんなのやってたの?」
「基本的にバスケットです。後は、柔道、剣道、合気道。趣味でダンスを少々。それくらいです。」
「…へぇ…意外にスポーツウーマンだね。しかも、ダンス経験者!いいもの見っけた!」
「…カメラの話です!」
「そう。それと関係がある。」
さっきの笑みを浮かべて、私に向き直った大翔。
その目をじっと見て、次の言葉を待つ。
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