鼓動

14/83

6686人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
すると大翔は、面白いオモチャを見付けた子供のような目と、若干薄笑いを浮かべた顔で私を見た。 「綾瀬ちゃん。」 「はい。」 「俺の弟子になりたいって本気?」 「本気です!」 「なんで海斗じゃなかったの?」 もれなく付いてくる彼女が基本的に嫌いなタイプだったので。 「海斗は綾瀬ちゃんの隣人だろ?海斗の方が頼みやすかったんじゃない?」 「頼んでみようと思いました。けど。諸事情でやめました。」 「諸事情?」 いくらなんでも、相棒の悪口は言えませんよ。それくらいの人文は持ち合わせています。 正確には、相棒とその彼女の悪口ですけどね。 「まぁいいや。」 適当に流した大翔は、そこからジャンプして女子トイレ側に降りた。 ……人がいなくて良かった。ただの変態アイドルになりかねないからな… 「綾瀬ちゃんって、結構足早いよね。何かスポーツやってたの?」 今の話となんの関係があるんだよ。 「いや、関係ある話だから真面目にね。」 …考えはお見通しってか? 「…ありますよ。」 「どんなのやってたの?」 「基本的にバスケットです。後は、柔道、剣道、合気道。趣味でダンスを少々。それくらいです。」 「…へぇ…意外にスポーツウーマンだね。しかも、ダンス経験者!いいもの見っけた!」 「…カメラの話です!」 「そう。それと関係がある。」 さっきの笑みを浮かべて、私に向き直った大翔。 その目をじっと見て、次の言葉を待つ。
/535ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6686人が本棚に入れています
本棚に追加