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「綾瀬ちゃん。本気なんだよね?」
「本気です!」
「うん。分かった。いいよ。」
「本当ですか!?」
にっこり笑って見下ろした大翔。
「但し、条件がある。」
「条件…?」
…その笑みの裏に隠された不気味な雰囲気を瞬時に感じ取る。
「ご存知のように、俺はアイドルだし、毎日忙しい。
年間のオフ日なんて数日しかない。
その日だけ教えるってのは、綾瀬ちゃんにとっても不満だろ?」
「…そうですね…」
「そこで!」
大翔は人差し指を立てて、私に詰め寄った。
「今の会社を辞めて、俺の所属事務所に専属バックダンサーとして入ってもらう。」
「……………はぁぁぁ!?」
思わず、スットンキョウな声を出してしまった。
何を言ってるんだ!この人は!
「バックダンサーって何ですか!そもそも私が芸能事務所に入れるわけないじゃないですか!」
「入れるよ。俺の推薦なら。」
…推薦するなぁ!
「時間が取れない俺と教えてもらいたい綾瀬ちゃんにとって、バックダンサーは、絶好の居場所なんだよ。
毎日のように一緒に行動するし、空き時間なんかも活用して教えられるぜ?
俺たちは基本的に、他のアーティストと違って、音合わせの段階からバックダンサーと行動するからな。」
だからと言って、バックダンサーって…
「有り得ないでしょ!」
「うん。本来ならばね。でも、綾瀬ちゃんは本気だと言ったから俺も本気に受け止めたまでのこと。」
…ダメだ…レベルが違いすぎる…
言ってることが、うまく処理できない。
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