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こういう現場での写真は、基本的に望遠だ。
警察が"keep out"のテープを引いている。
現場の近くで取材しても、かなりの距離がある。
だから、近くのビルや高台に登って、望遠で写真を撮る方が、現場周辺まで見渡せて、より臨場感が出る。
「長野さん、北側にある空きビルがいいかもです。」
「見えそうか?」
「はい。位置的に、居間の方ですね。」
「よし。報道はまだ規制中だな?」
「そのようです。」
報道カメラマンは、警察がある程度処理を終えたら、近くまで行き取材ができる。
でも、それまでは規制内に入ることはできない。
「バッチリです!」
「周りと中を撮りまくれ。」
「了解っす。」
空きビルの避難はしごをよじ登り、見えた現場をカメラに収めていく。
長野さんは、元々こういう現場ばかりを取材していた人だから、写真にもうるさい。
「長野さん!上から失礼します。チェックお願いします!」
でも、私はその長野さんにずっと付いてきたし、教えてもらった。
誰よりも、こういう現場の写真は得意な方だ。
「……よし!いい写真だ!隣人聴き込み行くぞ!」
「はい。」
…一発OK。
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