6686人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
「長野さんの言ってた通りでしたね。」
「そういうものは、経験だよ。」
「経験…」
私にはまだまだ足りないものだ。
全てに半人前。なにもかも。
だからこそ、自分を精進させたい。
一番手に入れたいカメラマンとしての腕。
一番欲しいものの1つなんだ。
あれから数日。
結局、いまだにうだうだと考え続けていた。
「綾瀬、このコンクールに出品してみないか?」
「急ですね。なんのコンクールですか?」
「幸田出版。"海の似合うもの"だと。」
「やります。」
「言うと思った。」
長野さんは、クスクス笑いながら、応募用紙を渡してくれた。
「ああ。それから、今日の夜ちょっと付き合え。お前に話したいことがある。」
「何ですか?今でも」
「いや、後で。編集長も来る予定だから。」
「何か、スゴイ話になるんですか?」
「さぁ?多分な。」
クスクス笑って、長野さんはデスクに戻った。
最初のコメントを投稿しよう!