鼓動

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「長野さんの言ってた通りでしたね。」 「そういうものは、経験だよ。」 「経験…」 私にはまだまだ足りないものだ。 全てに半人前。なにもかも。 だからこそ、自分を精進させたい。 一番手に入れたいカメラマンとしての腕。 一番欲しいものの1つなんだ。 あれから数日。 結局、いまだにうだうだと考え続けていた。 「綾瀬、このコンクールに出品してみないか?」 「急ですね。なんのコンクールですか?」 「幸田出版。"海の似合うもの"だと。」 「やります。」 「言うと思った。」 長野さんは、クスクス笑いながら、応募用紙を渡してくれた。 「ああ。それから、今日の夜ちょっと付き合え。お前に話したいことがある。」 「何ですか?今でも」 「いや、後で。編集長も来る予定だから。」 「何か、スゴイ話になるんですか?」 「さぁ?多分な。」 クスクス笑って、長野さんはデスクに戻った。
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