鼓動

23/83

6686人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
どっちにしろ、自分では悩むだけだった。 言いにくいけど、ここは、甘えてもいいって言ってるんだから、言ってみるのも得策かもしれない。 「あの。」 「「ん?」」 ……う。身体乗り出されると、ますます言いにくい! 「やっぱりいいです。」 「綾瀬!」 「だって!そんなに興味津々で聞こうとしないでください!」 「…分かった分かった。」 「どうぞ。」 1つ、深呼吸をして向き直る。 「…この前…彼らと撮影あったじゃないですか。実はあの時からなんです。」 「何が?」 「こう…何て言うのか…自分はもっと腕を磨けるって思ったのが…」 「だろうな。お前のカメラマンとしての才能は、俺も編集長も認めてるよ。」 「ありがとうございます。…でも、何か違うって言うか…あの二人に指導されて、見付かったものが大きすぎたと言うか…」 自分で驚いた。 衝撃だった。 人物の画が、あそこまで綺麗に撮れるなんて思わなかった。 スゴイって思ったのも本当だ。 「…確か、Door the Mの撮影だったか?」 「はい。」 「彼らの写真は見たの?」 「見ました!どれも、自分とは違う着眼点から撮られたもので、見ていて楽しかったです。 人物も、風景も、単発も、全てが自分とは異なってました。」
/535ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6686人が本棚に入れています
本棚に追加