鼓動

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あのときの思いを、高揚感を、すべて理解してくれるかは分からない。 だって、それはきっと、カメラマン独自の視点でしか見れないものだから。 「最初は、何も言われず、自分一人でいつものように撮りました。 その後、指導されながらの撮影。 帰社して直ぐに現像しました。 見て直ぐに思ったのが、自分とはまるで違う。 彼らの言う通りにしながら撮った写真は、初めに自分で撮ったものと比べて、雲泥の差でした。 そこで気付きました。彼らはカメラを辞めた訳じゃないって。今でもカメラを愛してて、毎日のように触れてるって。 それに気付いたら、彼らの傍で、術を磨きたいと思いました。」 編集長も長野さんも、黙って私の話に耳を傾けてくれた。 私が真剣に話すものだから、彼らも真剣に聞いてくれる。それが、殊の外嬉しくて。 「先週、偶然大翔さんにお会いしたんです。それで、弟子にして欲しいと頼みました。」 「大翔に直接!?」 「はい。大翔さんは、弟子を取るような大したモノは持ってないと仰いましたが。私の気持ちを汲んでくれて、了解を得ました。 でも、条件があると。」 「条件?」 「はい。」 「どんなものだい?」 「会社を辞めて、事務所に所属して、バックダンサーになれと。」 「ハハハ!!大翔らしい!」 大笑いした長野さん。 彼らとは同じ職場だったわけだから、性格まで全てを知り尽くしていることだろう。
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