鼓動

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「バックダンサーって、経験あるの?」 …気になるところはそこじゃないと思うんだけど。 「バックダンサーって言うか…ダンスの経験なら少しだけならあります。」 「凄いね。綾瀬は。」 「編集長、どうしますか?」 「うーん。難しいね。」 …あ。良かった。 どうやら分かってくれてたみたい。 「綾瀬はどうしたいんだ?」 「……………」 「何で迷ってる?正直に話してごらん?」 その口調は、私が理想としている父親像で、子供に優しく笑いかけて話す編集長。 「…し…正直…迷ってます。」 「うん。何に迷ってるんだ?」 「編集長と長野さん、そして、己の欲望から、大翔さんの傍で習いたいという自己中な自分です。」 「何故俺たちなんだ?」 「編集長にはお世話になりっぱなしだし、お二人からまだまだ教えてもらいたいことはたくさんあるんです!」 何だろう…見放された気分になってきた。 たくさんカメラを教えてくれた。 私の居場所を作ってくれた。 そんな二人は、私にとって、誰よりも大切な存在に変わりはない。
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