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そこから出ると直ぐに同期の二人を呼び出した。
「「えぇぇぇ!辞める!?」」
「うん。」
「何で?あ、長野氏に苛められたんだろう?俺が言ってきてやる!」
「加納!そんなんじゃないよ!やめてよ!」
「じゃあどうしたんだよ?いきなり!」
「自分の道を選んだんだよ。」
加納と違って、服部は黙って私を見ていた。
「カメラ…辞めるのか?」
「辞めない。それを極めてくる!」
「なんだ…良かった。俺、お前の写真好きなんだよ。だからビックリした。」
ヘタッと座り込んだ加納。思わず笑みが浮かんでくる。
「加納!何サボってんだ!取材行くぞ!」
「はい!今行きます!……ワリ。綾瀬、暇なときは飲みに行こうな!」
「うん!行ってらっしゃい!」
「おう!」
満足な挨拶じゃないけど、加納とはこれでいいと思った。多分、いや、必ず会えると分かってるから。
「行くんだ?例の人のとこ。」
「うん。この前偶然会ってさ、いいよって言ってくれたから。」
「惚れるなよ?」
「それはない。」
「…だろうな。」
服部も、笑顔で私を見送った。
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