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集中して書いてると、携帯のバイブが着信を知らせた。
昨日、登録しておいた"大翔"の文字。
「はい。」
『こんにちは。東です。』
「こんにちは。」
『さすがにグループ名は覚えてくれた?』
「はい。Door the M。」
『ハハハ。合格。俺、今から休憩入るんだけど。まだ家にいるの?』
「いえ。天神です。」
『うん。合格。』
その一言で知る。
私は大翔に試されていたんだ。
福岡という情報だけ与えて、ここまで来れば、それだけ本気度が分かるということだろう。
『ドームの近くまでどれくらいかかる?』
「…すみません。ドームの位置が分からないので、どれくらいかかるか分かりません。」
『あ。そうか。じゃあタクシーでドームまで来てくれる?着いたら俺が支払うから。近くまで来たら電話して。』
「……分かりました。」
なんか、聞き捨てならない言葉を耳にしたけど。
……俺が支払うから?
……要らねーし。
そう思いながら、言われた通りタクシーでドームに向かった。
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