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ものの30分もしないうちに着いた。
大翔に会う前にタクシーを降りて携帯をかける。
「なんだよ。支払うって言ったのに。」
「借りは作りたくない主義です。」
「綾瀬ちゃんらしいや。こっち。俺の楽屋に行こう。」
足早に歩く大翔の後を必死に追いかけ、向かった大翔の楽屋。
「ここは、基本的に俺と海斗くらいしか入らない。スタッフも来ないから安心して。」
「はい。」
スタッフも来ない?そんなもんなんだろうか?
「海斗は海斗で別の部屋だから。とりあえずそこに座って。」
「ありがとうございます。失礼します。」
パイプ椅子に身を沈め、大翔の動向を追っていると、段ボールにたくさん入ったDVDとCDの山。
「これDoor the MのPV。」
「PV?なんですか?」
「……そこからか……」
「すみません。」
「いいよ。無知の方が飲み込み早いと思うし。PVってのは、プロモーションビデオの略ね。これを全部覚えてくれる?」
「分かりました。」
「…意外。嫌がるかと思ったら。」
「覚悟は出来てると言ったはずです。その代わり、必ず暇があればカメラの指導をお願いします。」
「もちろん。俺の知識でよければ、全てを叩き込んでやる。」
「お願いします。」
リハーサルとかで出ていった大翔。私は、彼の楽屋に残り、DVDを見てダンスと曲を覚えていくことにした。
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