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「……綾瀬、ブレイカー?」
「あ。はい。そうです。」
曲が終わり、3人同時に動きが止まり、第一声が大翔の問いかけだった。
ブレイカーとは、ブレイクダンスを中心にやる人のこと。
「趣味だって?結構本格的にやってたんじゃないのか?」
「いえ。大学のサークルで覚えたので。それ以外は身体を動かす程度のダンスしかしてませんから。」
「完成度高い。凄いよ。」
「なるほど…2,3回見れば覚えられるはずだ。大翔、こいつ、頭じゃなくて身体で覚えてる。」
そう言われると、そうかもしれないな。
曲に合わせて、画面と同じように身体を動かすだけで、自然と動く感じ。
「大翔。」
「何?」
「お前、スゲーの引っ張ってきたな。掘り出し物だぞ。」
「自分でもビックリしてるよ。」
「覚えれば、直ぐに前出し行けるぞ。」
「そうだよな…」
「あの。一番後方でいいです。つーか、そこを定位置にしてください。前出しなんて冗談じゃない。あくまで私は、」
「あーーー!!綾瀬ちゃん!それは内緒!!」
「は?」「え?」
カメラのために!と言おうとしたところ、大翔に止められた。そして、耳に口を寄せ。
「ダンスに命を懸けている人間に失礼だろ?それに、海斗がそのこと知ったら、直ぐにダンスに本気じゃないなら出ていけって言いかねない。」
「げ。それはまずいです。」
「だろ?だから、言わない方がいい。」
「何だよ?ゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ?」
「ハイハイ。ごめんよ。」
海斗の肩をポンと叩き、不審そうに見る海斗を宥める。
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