鼓動

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大翔の部屋に運ばれてきた弁当を頬張る二人。 それを他所に、DVDをかじりつくように見ながら部屋の隅で覚えていく。 「綾瀬ちゃん。ご飯は?」 「まだお腹空いてないので大丈夫です。」 「ライブ見ていく?」 「見ませんよ。今は見ているときではありません。優先順位を間違えちゃいけない!」 「これからのためでしょ?」 「それは全てを覚えた後に言っても許される台詞ですから。……ターン…Sound…バク転!」 「うお。お前、バク転まで出来るのか?」 「………邪魔。話しかけないでください。気が散ります。」 「大翔はよくて、どうして俺はダメなんだ?あ?」 「あーー。仲良くいこうってば!」 仲裁に入る大翔も一苦労だろうな。 先が思いやられるが、どうしてもこの人は人格を疑ってしまう。 「じゃあ、今日は帰る?」 「帰っていいのなら、家で覚えますが。」 「それで構わないよ。ツアーが終われば、俺たちは一時テレビ出演ばっかりだろうから、多少の時間は取れる。 レッスンも合わせてチェックしていくから。」 「分かりました。じゃあこれで失礼します。」 「…風呂入っていけば?」 「立場は弁えてますよ。私はDoor the Mと違って一般人です。ここで入るなんて出来ません。 途中、ネットカフェあったので、そこで入って帰ります。それでは。」 ちょっと重たい段ボールを持って、大翔の楽屋を出た。
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