鼓動

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…いや。ご親切に言ってくれたことは嬉しいけどさ。 馴染めない雰囲気にのまれそうで、早々に立ち去りたかったってのが本音。 いつもあった笑顔や、安心できる人たちがいないことが、自分にとってどれだけ不安になっているかを悟っていた。 「綾瀬。」 歩いている途中、海斗が私を追ってきた。 「どうしたんですか?」 「その荷物、東京まではきついだろ。今から送れば、明日には着くからそうしろ。大翔の伝言。」 「…大翔さんは?」 「ソロのリハ。」 なるほど。だからこの人が来たんだ。 「ありがとうございます。コンビニに寄って行きます。」 「ああ。それから」 「海斗!」 海斗が話し掛けたとき、聞き覚えのある甘ったるい鼻声のような声が。 「理奈。どうしたんだ?」 「ちょうどそこで仕事があって、そのままここに…あら。…あなたは…」 「…どうも。ご無沙汰してます。」 ……あー。ダメだ。 顔を見ただけでムカつく。 ビンタされたの、根に持ってるからな!コノヤロー。
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