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「どうしてあなたがここにいるの?」
「雑誌の特集です。ツアーの取材に来たんです。」
「そう。この前言ったこと、覚えているかしら?」
「もちろん。その後のことも。」
ビンタされたことを何気に話すと、表情を変えた。
「…まさか…」
「言ってませんよ。私にはお二人のことは関係ありませんから。…では高山さん。失礼します。東さんにも宜しくお伝えください。」
この女、私がバックダンサーになると知ったら、どういう反応をするんだろう。
ちょっと面白そうだな……
そんなことを思いながら、近くのコンビニで段ボールを自宅宛に送り、ネットカフェに入ってシャワーを浴びた。
1時間くらい時間を潰して、目の前にあった喫茶店に入り、遅い昼食タイム。
…こりゃ、夕食は要らないな…
頼んだサラダスパゲッティを頬張る。
「それにしても、よくここまで来たわね?」
「だって、自分のためじゃない。」
口に運ぶ寸前、フォークが止まった。
つくづく思う。
なぜ、私はこの人とここまで縁があるんだろう?
甘ったるい鼻声。
大倉理奈の声。
今までの癖なのか、気付かずうちに鞄に手を伸ばし、ボイスレコーダーのスイッチを入れて会話を録音して聞いていた。
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