鼓動

46/83

6688人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
「あんたさ、海斗のことどうするの?」 「お金になる利用価値のある人じゃない。」 「酷いヤツ!例の彼は?」 「あの成金?あっちも順調。いろんなもの買ってくれるし。」 ……うわ。二股? なんて女だよ。 海斗が可哀想になってくる。 「結局、二人とも金じゃない!」 「だって、くれるものは貰わないと。物は直ぐに換金してるけど。」 「海斗にバレたらどうするの?成金くんはバレそうにないけど。」 「バレたら別れるわよ。」 …海斗は、本当にこの人を見抜けていないんだろうか?と疑問に思ってくる。 こうして、友達に堂々と話してるってことは、きっと、いろんな人にもふれ回ってるに違いない。 直ぐに本人の耳にも入りそうなんだけど…と言うか、これじゃ入っているだろう。 上手くカバーできてるって言うんだろうか? 思えば、加納が言っていたな。 Door the Mは濃い霧に包まれているようだと。 プライベートを掴もうとしても分からず、どこで生まれ、どこで育ってきたのかも知られていない。 ただ、いきなりカメラマンとして出てきて、あっという間にトップアイドルにまで駆け登った二人なんだってこと以外、詳細は分からない。 多分だけど、これが項を奏してるんだと思う。 プライベートで撮された写真は、以前に大倉理奈とデートしていた時に撮された1枚のみ。 油断していたときなんだろう。 大翔に至っては、1度も撮られていない。 そんな人たちが存在するなんてあり得ないと思っていたけど、完璧とも言えるイリュージョンを見ているかのように、彼らは、仕事が終われば突然消える。 大倉理奈は、いつも通り接しているだろうが、海斗はそうじゃないと思う。 細心の注意を払って、いろんなことに手を回しているんだと思う。その答えが、一番しっくりくる。 ……哀れ……高山海斗…… そこでまた、新たな疑問。 知りつつも、付き合ってるのはどうしてなんだろう?
/535ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6688人が本棚に入れています
本棚に追加