6688人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
しかし。
意外と野次馬がいないもんだな。
こういうことを大声で話しているのに、周り誰一人として見向きもしない女優。
あんまり売れてないんだろうか?
芸能人と聞けば、後ろからファンがいっぱいついてきて追いかけられてるイメージ。
現に、この前大翔と会ったとき、ファンに追いかけられて酷い目にあった記憶が甦る。
「それから、あのカメラマンの女、あんまりいい仕事してないんだよね。あれだけ吹っ掛けたのに。」
「あー。この前言ってた人?」
「そう。カメラマン仕込み入れても、まともなカメラマンいなくてさー。顔が写ってなくて、スキャンダルにならないっつーの。」
…仕込みのカメラマンねぇ…
そういうの、当然海斗は知ってるんだろう。
何度やっても無理でしょう?
でも、そこまでやる必要があるんだろうか?
「スキャンダル欲しいの?」
「何のために海斗と付き合ってるのよ。私をトップ女優にしてくれる。カメラマン海斗は餌なんだから。」
「酷い女ね。」
「あんたもおこぼれあげるわよ。」
「要らないわよ。」
「そう?でも、たった一度のスキャンダルで、あれだけ注目された快感は堪らないわよ。」
なんか、聞いてるだけでもイライラきてしまう。
疑問は直ぐに本人の口から出た言葉によって解決した。
女優と言うより、人としておかしい。
一気に食べ、足早に喫茶店を出た。
最初のコメントを投稿しよう!