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約束のツアー最終日まで
ダンスの感覚を思い出して
ダンスと曲を覚え
歌詞を全て書き出して
仕上げにCDをかけて、覚えたその全ての曲を歌いながら踊る。
将来の自分を思い描きながら。
自分の気持ちに向き合いながら。
目標があると、実現出来そうもないことでも頑張っていけると気付いた。
1000オーバーの曲を1ヵ月半で覚えられたのは、実現不可能だと思えたことをやり遂げた自分の勝利。
『もしもし、綾瀬ちゃん?』
「こんばんは。ツアー、お疲れさまでした。」
『ありがとう。調子はどう?』
「約束通り、全部覚えましたよ。」
『本当に?』
「はい。」
どうやら、打ち上げの真っ最中らしく、電話の向こう側ではざわついている。
『俺も海斗も、明日は完全オフなんだ。だから、綾瀬ちゃんの仕上がり具合をチェックしに行こうと思う。
海斗に聞いてみたらOK出たから、海斗の部屋でやるから。朝10時から時間ある?』
「はい。」
『じゃあ決まり。宜しくね。』
「こちらこそ、宜しくお願い致します。」
切れた携帯を眺めて、明日のことを思い浮かべる。
泣いても笑っても、彼らがダメと言えばダメなのだろう。
そうなれば、私は、大翔から教えてもらうなんて出来ないってことだ。
でも、私は自信に満ちていた。
目標を胸に本気で取り組んだダンス。
認められない訳がない。
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