鼓動

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「俺たちも、ツアー終わってクタクタだから、少しは休みたいし、手っ取り早く終わらせようと思って。」 「お時間取っていただいて、ありがとうございます。」 「約束だからね。でも、これで綾瀬ちゃんも決めないと、これから先が思いやられるだろ?」 「…そうですね。頑張ります。」 「その意気だ。」 そして、3枚のCDを取り出した大翔は、コンポの中にセットした。 「これは、俺たちの曲をノンストップで編集したもの。3枚で、大体2時間弱ってとこ。」 …なるほど。 CDチェンジする間以外は、休みなく動いているってことか。 この1ヵ月、死にそうなくらいダンスをしてきた。2時間動きっぱなしでも、それくらいの体力は付いているはずだ。 「…その顔。よっぽど自信があるんだな?」 「あります!」 「悪いところは指摘していくぞ?」 「はい。」 リビングなのにシューズ着用。 大きな鏡を目の前に置かれて、小さなレッスン場のような空間。 どうやら、海斗も付き合ってもらえるらしく、私の両脇に立った二人。 「一曲目は"チェイサー"。」 「はい。」 直ぐに分かった。 …試されてる。 タイトルだけ教えることで、その曲とダンスが一致しているかどうか。 そして、ノンストップアレンジってことは、2曲目以降は、耳だけで反応しなければならない。 止まらず。流れるような動きで。
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