鼓動

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編集されたのは3枚。 聞いてみると、ローテンポの曲、アップテンポの曲、その二つがミックスされた曲。 もともと、ブレイクダンスをしていた私は、アップテンポの方がリズムとしては合っている。 それを見越して作られたのが1枚目だろう。 「そうじゃない!」 「音を聞き取れ!合わせるんだ!」 「早すぎる!ゆっくり流れるように!」 ローテンポの編集曲の時、いつにも増してふたりの怒鳴り声が響く。 自分の出来の悪さのせいだ。 逆に、アップテンポの時は、たくさん誉められる。 「よし!いいだろう。」 「…ハァ…ハァ…ありがとうございます!」 「まだいけるか?」 「はい。」 「水分補給して。ここからはさらにハードだからね。」 「ローとアップのミックスは、思った以上に身体に負担がかかる。5分休憩して始めるぞ!」 「はい。」 もらったミネラルウォーターを一気に飲みほし、柔軟をしながら休憩を過ごす。 飛び上がったり、ステップが多かったり、身体を大きく動かすアップテンポのダンスと、緩やかに柔らかい手の動き中心のローテンポのダンス。 使う筋肉も、必要な酸素量も、全く違うもののミックスは、言われた通り身体の負荷が尋常じゃないほど疲れる。 慣れていれば別だが、アップからローに変わったとき、呼吸が整わずにアップテンポに入る羽目になる。 それを続けていれば、いずれ、酸素不足になってしまう。 だからこそ必要な柔らかい筋肉。 どんな動きでも対応出来る筋肉。 私は多分、それがない。 だからこそ、直前の柔軟が鍵を握る。
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