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「綾瀬!俺を見ろ!動きが違う!」
「はい!」
「足の蹴りあげ方!角度!もっと上げて!」
「はい!」
取り組み方がハードになり、自分の頭で理解していながら動けない身体に納得いかず、必死で追い付こうと目を凝らせる。
考えてみれば、凄い厚待遇なんだろう。
Door the M本人たちが納得いけば、私は自然とバックダンサーになれる。
レクチャーは、本人たちから。
彼らは、トップアイドルなのに、こうして時間が空いたら私を優先してくれた。
長野さんたちだけじゃない。
この二人も、裏切ってはいけない。
そう考えながら身体を動かしていく。
「…ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!」
「よし!いいだろう!」
「あ…ありがとうございました…」
3枚目の全曲が終わると、脱力したように床に膝をつき、肩で息をし始めた。
さすがと言うべきか。
大翔も海斗も、既に息は整っていて、余裕の顔で水分補給していた。
アイドルと言えど、伊達じゃない。
彼らは自分がプロデューサーだと言った意味がだんだんと理解できてくる。
長野さんが言っていた。
"楽しいことは、一生懸命取り組む奴らだ。妥協は許さない"と。
アイドルだって、それなりに努力して勝ち取ったもの。
見ていて、表面だけで理解しても、こうして身体に叩き込まれると嫌でも心まで入ってくる。
"彼らは、凄い"
その一言。
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