鼓動

55/83

6687人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
でも、何となく達成感はある。 必死でやって、誉められたからだろうか? 自分でも驚くくらいに満足していた。 これからがさらに厳しくなっていくのは分かっている。それも覚悟の上だ。 「あ。電話……もしもし。ミサ?…うん。海斗のとこ。」 大翔の電話が鳴って、嬉しそうに会話している姿。 「分かった、直ぐに行くよ。……ごめん。今日は終了ね!綾瀬ちゃん、明日、事務所まで来れる?」 「はい。」 「お前、どこ行くんだよ。つーか、ミサって誰。」 「スタイリストの子。」 ………あれ。 この前モデルと付き合ってるって… 「じゃあ俺、もう帰るから。明日から本格始動だよ?綾瀬ちゃん。」 「え。はい!」 バタバタと走り去ってしまった大翔。 …あの人…いい人なんだけど… 女のローテーション早いな… そう思ってると、横から視線を感じる。 ……しまった。気付くの遅れた。 「……お前、本気なの?」 「何がですか?」 「バックダンサー。」 「本気じゃなければ覚えません。……すみません。長居して。失礼しました。」 ……二人きりは居心地悪すぎる。 手荷物をもって、玄関に向かう。
/535ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6687人が本棚に入れています
本棚に追加