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窓際にある薄いレースのカーテンを引く。
同じ位置に戻って、もう一度ファインダーを覗く。
1枚撮って見てみても、納得できず。
カーテンを半分開けて、ファインダーを覗く。
「…何?」
「大翔、気にするな。魂が入ってる証拠。コイツの腕は確かだ。任せておけ。」
「…うぃー。」
そんな会話も耳に入らず、ひたすら高山海斗の魅力を引き出せるポイントを探していく。
スタジオじゃないし、私の愛用カメラは一眼レフ。
これで、最高の画を撮るために、試行錯誤しながらファインダーを覗く。
ここにメイクさんはいない。
ターゲットに近付き、前髪の毛を少し斜めにして。サイドは後ろに流す。
窓側は彼の左側にあるから、右側の顔に少しだけ白いパウダーを。
「……………」
結構、いい感じだ。……でも……
「あの。少しいいですか?」
「どうした?綾瀬。」
「高山さん、コンタクトされてます?」
「「「!!!」」」
……場が固まってしまった。
何だろう。
「…カラコンですか?出来れば外してもらいたいんですけど。」
「綾瀬。そんな要求は無理だ。」
「どうしてですか。カメラフラッシュだけで頑張ってるのに。」
そう。照明器具は一切持つなと言われてるから。
日の光だけで屋内撮影は厳しい。
いろんな角度から見て、いい仕上がりに出来るかと思っても、高山さんの目が何か不自然で。
パッと思い付いた答えがコンタクト。
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