鼓動

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「ちょっと待てよ。」 「何か用でしょうか?」 「俺、お前に何かした?」 「別に何もしてません。」 「だったら何でそんな態度な訳?」 うーん。 強いて言えば、大倉理奈の彼氏だからだろうか? この前知ったのは、予想だけど、この人だって本当は大倉理奈の本性を知っていると言うこと。 だけど、付き合っている事実。 初めは、カメラマンの癖に見る目養っていないことに腹が立っていたけど、今はどうかと聞かれれば、多分、海斗の擁護をしたい側だろう。 海斗自身、いい加減に目を冷ましてほしいと言うか。 「海斗さんの彼女さん。」 「……理奈のことか?」 「はい。…あの人が嫌いなだけです。」 「……………」 「だから、あなたにも本当は関わりたくない。」 これは本音だ。 この人に近付かなければ、彼女とも会うことはないだろう。 「何かあったのか。」 「たくさんありましたよ。」 「…俺を付け回してか?どうしてお前が?出版社は辞めたんじゃないのか?アイツを売る気か!?」 急に雰囲気が変わった海斗に気付く。 「別に売ろうとか思ってません!」 「じゃあ何だよ!」 いきなり怒鳴られて、少しカチンときた。 「…ちょっと待っててください。直ぐに戻ります。」 そう言い残して、自分の部屋に帰る。
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